【狩猟のこぼれ話】ビーチコーミングの脊椎にあこがれて、骨格標本をつくってみた
ビーチコーミングとは、浜辺に漂着したものを拾って観察したり、収集したりすることです。
我が家は山に住んでいるので、ビーチとはほぼ無縁。でもそれゆえに憧れがあって。
「山と川と暮らし」は、標高1150mほどの山のふもと、ちょうど本州の真ん中あたりに暮らす夫婦(+犬)の屋号です。
小さいころ、家族で海に行ったときに「きれいな石」と思ってひろったガラスのかけら。使い道はないけれど、空き缶にいっぱい集めていました。これもビーチコーミングのひとつみたいです。
さて、そのビーチコーミングでたまに出てくるのが骨。
▲ yukinobukoさんのtumblrより
シャチやイルカなど鯨類の骨だったり、カメの骨だったり、いろいろあるようです。「骨」というと、不気味に思う方もいらっしゃるかと思いますが、海にもまれて角が丸くなったそれは、美しくもあり、かわいらしくもあり。
そんなところを目指して、先日捕獲したイノシシの骨格標本を作ってみました。
▲ 捕獲までの記録はこちらをどうぞ
※ほぼ骨の写真なのでグロテスクな表現は少ないですが、苦手な方はごめんなさい。
てんやわんやで「肉・骨・毛皮」の処理を進める
たいてい、何かが獲れると「解体(剥皮して枝肉へ)→ 肉処理(切り分けて小袋に入れ冷蔵保存できる形へ)→ 残滓処理・使った道具の片付け」が一連の流れ。
我が家の冷蔵庫は大きくないので、骨付きの状態では保存できず。
獲ったその日中に「骨から外して小分けに、冷蔵庫・冷凍庫に収めるまで」を終わらせます。ひとりでちょっとずつやるので、朝の見回りから肉処理が終わるまで、ちょこちょこ休憩を挟みつつ夜9時頃までかかります。
その翌日に骨の処理や道具の片付け、知り合いに肉を配る、毛皮をなめす場合はその処理も…。
もう、肉やら毛皮やらが傷まないように、てんやわんやで。まだ外気温が冷蔵庫くらいの時期なのでなんとかなっていますが、これからの時期はひとりでやるのは無理があるなあと。
小さなイノシシの骨は金鍋にすっぽり入るサイズ
今回の骨は小さなウリボウだったので、全身すっぽり鍋に収まります(頭は別途保存)。火にかけて、犬のおやつに。
骨盤と背骨は、重曹を少し入れてコトコト30分ほど煮込みます。
この部分を骨格標本にするので、骨さえ残っていればもはや肉は腐ってもいい。と言うことで、火を止めて他の作業が一段落するまで放置。
毛皮の処理をしたり、なんだりで次の作業開始が3日後。
大きな肉を外し骨だけの状態に近づけていきます。
あらかた取りましたが細かい部分が残っています。
もう一度、重曹を入れて煮立ったら火を止めて放置。
細かい部分を根気よく取り除く
翌日、歯ブラシやらピンセット・爪楊枝を駆使して細かい部分にとりかかります。これがかなりしんどい作業…。
骨と骨の間にある細かい肉を取って取って、5時間ほどかかりました…。
再び重曹を入れて煮立たせ、火を止めて数日置きます(数日置くのは「肉を落としやすくする」<「根詰めてやるとつかれる」という理由)。
仕上げに入れ歯洗浄剤が活躍
どうしても取れない小さな隙間や軟骨の部分などは、入れ歯洗浄剤が活躍。
本来の用途では、コップ1杯に1錠の分量だろうから…容量は鍋だし、入れ歯よりももっと強く効いて欲しい。正しい分量はよくわからんので2.6g×20錠入れてみました。
ぱっと見「生クリーム?」な、甘い香りただよう光景。
だけど、実際は歯磨き粉みたいなミントの香り。本来爽やかさを感じるのだろうけど、ここまで大量だとミントだろうと、ちっとも爽やかじゃない。
蓋をして、数日放置。私の代わりにせっせと酵素?たちが働いてくれるはず。
いよいよ乾燥へ
1週間後、鍋から取り出し、歯ブラシ・爪楊枝で最終仕上げ。ざるに挙げて薪ストーブのそばで乾かします。
イノシシの脊椎・骨盤の標本完成!!
まとめ:時間がかかったけど良いものができた!
総作成時間は8時間ほど、期間は3週間ほどかかりました。
標本と言ってもラベルもつけていないし、骨をつなげていない状態ですが、これでも解体の参考になります。
体のつくりを知ることはとてもおもしろい。
海からほど遠い山奥ですが、誰かの参考になれば幸いです。
同じ個体の毛皮なめしも完成したので後日まとめようと思います。
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