2021-04-04

【狩猟のこぼれ話】ビーチコーミングの脊椎にあこがれて、骨格標本をつくってみた

ビーチコーミングとは、浜辺に漂着したものを拾って観察したり、収集したりすることです。

我が家は山に住んでいるので、ビーチとはほぼ無縁。でもそれゆえに憧れがあって。

山と川と暮らし」は、標高1150mほどの山のふもと、ちょうど本州の真ん中あたりに暮らす夫婦(+犬)の屋号です。

小さいころ、家族で海に行ったときに「きれいな石」と思ってひろったガラスのかけら。使い道はないけれど、空き缶にいっぱい集めていました。これもビーチコーミングのひとつみたいです。

さて、そのビーチコーミングでたまに出てくるのが骨。

▲ yukinobukoさんのtumblrより

シャチやイルカなど鯨類の骨だったり、カメの骨だったり、いろいろあるようです。「骨」というと、不気味に思う方もいらっしゃるかと思いますが、海にもまれて角が丸くなったそれは、美しくもあり、かわいらしくもあり。

そんなところを目指して、先日捕獲したイノシシの骨格標本を作ってみました。

▲ 捕獲までの記録はこちらをどうぞ

※ほぼ骨の写真なのでグロテスクな表現は少ないですが、苦手な方はごめんなさい。

てんやわんやで「肉・骨・毛皮」の処理を進める

たいてい、何かが獲れると「解体(剥皮して枝肉へ)→ 肉処理(切り分けて小袋に入れ冷蔵保存できる形へ)→ 残滓処理・使った道具の片付け」が一連の流れ。

我が家の冷蔵庫は大きくないので、骨付きの状態では保存できず。
獲ったその日中に「骨から外して小分けに、冷蔵庫・冷凍庫に収めるまで」を終わらせます。ひとりでちょっとずつやるので、朝の見回りから肉処理が終わるまで、ちょこちょこ休憩を挟みつつ夜9時頃までかかります。

その翌日に骨の処理や道具の片付け、知り合いに肉を配る、毛皮をなめす場合はその処理も…。

もう、肉やら毛皮やらが傷まないように、てんやわんやで。まだ外気温が冷蔵庫くらいの時期なのでなんとかなっていますが、これからの時期はひとりでやるのは無理があるなあと。

小さなイノシシの骨は金鍋にすっぽり入るサイズ

今回の骨は小さなウリボウだったので、全身すっぽり鍋に収まります(頭は別途保存)。火にかけて、犬のおやつに。

骨を鍋で煮る
▲ ボール遊びもしない反応のうすい犬が、最もハイテンションになるので相当おいしいのではなかろうか。

骨盤と背骨は、重曹を少し入れてコトコト30分ほど煮込みます。

この部分を骨格標本にするので、骨さえ残っていればもはや肉は腐ってもいい。と言うことで、火を止めて他の作業が一段落するまで放置。

毛皮の処理をしたり、なんだりで次の作業開始が3日後。
大きな肉を外し骨だけの状態に近づけていきます。

あらかた取りましたが細かい部分が残っています。

もう一度、重曹を入れて煮立ったら火を止めて放置。

細かい部分を根気よく取り除く

翌日、歯ブラシやらピンセット・爪楊枝を駆使して細かい部分にとりかかります。これがかなりしんどい作業…。

before
after

骨と骨の間にある細かい肉を取って取って、5時間ほどかかりました…。

▲ 「ぼくのおやつか?」と様子を見に来た犬

再び重曹を入れて煮立たせ、火を止めて数日置きます(数日置くのは「肉を落としやすくする」<「根詰めてやるとつかれる」という理由)。

仕上げに入れ歯洗浄剤が活躍

どうしても取れない小さな隙間や軟骨の部分などは、入れ歯洗浄剤が活躍。

本来の用途では、コップ1杯に1錠の分量だろうから…容量は鍋だし、入れ歯よりももっと強く効いて欲しい。正しい分量はよくわからんので2.6g×20錠入れてみました。

ぱっと見「生クリーム?」な、甘い香りただよう光景。
だけど、実際は歯磨き粉みたいなミントの香り。本来爽やかさを感じるのだろうけど、ここまで大量だとミントだろうと、ちっとも爽やかじゃない。

蓋をして、数日放置。私の代わりにせっせと酵素?たちが働いてくれるはず。

いよいよ乾燥へ

1週間後、鍋から取り出し、歯ブラシ・爪楊枝で最終仕上げ。ざるに挙げて薪ストーブのそばで乾かします。

イノシシの脊椎・骨盤の標本完成!!

▲ 箱に入れて保存

まとめ:時間がかかったけど良いものができた!

総作成時間は8時間ほど、期間は3週間ほどかかりました。

標本と言ってもラベルもつけていないし、骨をつなげていない状態ですが、これでも解体の参考になります。

体のつくりを知ることはとてもおもしろい。

海からほど遠い山奥ですが、誰かの参考になれば幸いです。

同じ個体の毛皮なめしも完成したので後日まとめようと思います。

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