2021-04-22

【ハンドメイド記録】鹿の子模様がうつくしい夏毛のシカ-毛皮なめしNo.2/No.4-

こんにちは。山と川と暮らし(@yamakawakurashi)です。

ハンドメイドを「人の手で作ったもの、手作り」と定義すると自分でなめした革もそれだなぁということで、忘れないうちに【ハンドメイド記録】としてまとめることにしました。

「毛皮なめし?なんじゃそら」という方も是非。そんな世界もあるのね~と読んでいただけると幸いです。

※毛皮なめしの「皮から革」へ変わる過程を載せています。一部、生々しい写真もあります。苦手な方は閲覧をひかえてください。

「山と川と暮らし」は、標高1150mほどの山のふもと、ちょうど本州の真ん中あたりに暮らす夫婦(30代)+犬の屋号です。狩猟をする私、釣り好きな夫、犬はイーヨーみたいなセッター。

▼ なぜなめすのかをまとめた記事、まだ読んでいない方は、まずこちらから。

0枚目1枚目の記録もあります。よかったらどうぞ。

鹿の子模様がうつくしい夏毛のシカ

夏毛のシカは、てんてん模様。

シカ夏毛

明るい茶色に白い斑点がとてもきれい。一説では、木漏れ日のカモフラージュとも言われています。

「鹿の」模様と言われるように、この斑点は子どもにしかない…というのはウソで。

シカ親子

夏になると老若男女みんな「鹿の子」模様になります。

シカ夏毛
▲ 立派なオスジカ反芻中…北海道にて撮影2014年6月30日

おそらく個体差・地域差はあると思いますが、6月~9月は夏毛で10月~5月くらいまでが冬毛。

シカ
▲ 冬毛のシカは木立に同化するため灰色っぽい

一方で、狩猟期間は11月15日~2月15日まで(北海道は10月1日~1月31日まで)。生息数や農林業被害の状況によって多少の期間延長がありますが猟期は「冬」がメインです。

なので、夏毛のシカは有害駆除で捕獲された個体がほとんどです。

有害駆除とは…各自治体(市町村)から、農林業に影響を及ぼす鳥獣に対し捕獲許可が出ます。期間と対象は、状況によって異なります。
※個人的に「有害駆除」には少し違和感があるのですが、天敵の少ない野生動物に捕獲圧をかけるのは狩猟者の大切な役割なんだと思います。
もっと詳しく知りたい方は「農林水産省 鳥獣被害対策コーナー」を参考に。

ここ数年では、年中捕獲可能なので夏毛の毛皮は珍しくないです。今後、個体数がほどほどに、農林業への影響もそれほど気にならなくなったら、夏毛の毛皮は希少な存在になるんだろうなあと思います。

はじめてミョウバン液につける…毛皮2枚目

No.2

若干失敗に終わった1枚目から数年…まとまった時間が取れた2019年冬。

まだなめし方法はよくわからない状態だけど、とりあえずやってみようと重い腰を上げたのが2020年2月のこと。

冷凍庫を圧迫する毛皮の中からまず最初に選んだのは、捕獲時期・場所不明の夏毛のメス。大きすぎず小さすぎずなサイズから、推定たぶん1歳くらい。おそらく数年前に猟友会の方からワナにかかったシカを譲っていただいたものと思われます。

冷凍保存していたので、一晩室温に置いて解凍。1日水にさらして、翌日ナイフで残っている肉をこそげ落とします。

水気を切って、ミョウバン溶液へつけ込み。

分量はこちら:焼きミョウバン70g+塩少々+水5L

今まで、直接ミョウバンをすり込む方法をとっていたので、漬ける方法は初めて。分量はネットの先人のブログを参考に…。

…と思ったら、いくらか調べて見ましたが、人それぞれ使う量が違う。焼きミョウバンと生ミョウバンの違いとかもあるようで。もう、正解はよくわからんのでそのとき手元にあった分量を適当に。

6日間ミョウバンに漬けた後、乾燥の工程へ。

水気をなるべく切る > 油+洗剤+水を霧吹き > すのこへ貼り付け

4日後、すのこから外して手で引っ張りやわらかくします。

だいたいすのこ貼り付けから10日後にほぼ乾燥、完成しました。

作成期間:2020年2月17日~3月4日
17日解凍 > 18日水漬け > 19日裏打ち・ミョウバン漬け > 25日すのこ貼り付け > 29日へらがけ > 3月4日完成

この1枚を皮切りに、作業イメージがついたので3月は複数枚同時進行で計5枚ほどなめしました。

夏毛から冬毛へ、生え替わりはじめの4枚目

No.4

2019年9月9日に捕獲された2歳以上のメスジカ。これも猟友会の方がくくり罠で捕獲したものを譲っていただきました。

作成期間:2020年3月6日~3月25日
6日解凍 > 7日水漬け > 8日裏打ち・ミョウバン漬け(水6L+焼ミョウバン70g+塩少々) > 18日すのこ貼り付け > 21日へらがけ > 25日完成

No.2の夏毛と異なることがいくつか。

・脂が多いのか、床がテカテカに。
・毛がパラパラと抜け、排水溝には握りこぶし大ほど溜まった。
・ワナが後ろ足にかかったので、お尻あたりまで血がにじんでいた。
・ミョウバンから引き上げる段階で、においが少し気になる。
 →乾燥したらにおいは消えました。

よく毛を見ると、もう冬毛が出始めていて。生え替りの時期は毛が抜けやすいのかもしれません。

まとめ:夏毛=脂が多い+うすい+乾きが早い+換毛時期注意

【 夏毛をなめす上で気がついたこと 】

・厚みのある冬毛とくらべると、夏毛はうすくてぺちゃんこ。軽くて涼しそうです。ゆっくり乾燥が進む冬毛に対し、毛が薄い分早く水分が抜ける気がします。

・捕獲の時期と性別によると思いますが、冬毛とくらべると脂が多いのかもしれません。ミョウバンに漬ける前によく洗うといいのかな…。

・捕獲された時の気温が高いので、冷凍や塩蔵の処理を速やかにしないと傷みが早く毛が抜けやすくなるかも。

・そもそもの生え替わりで毛が抜けやすい時期があるようなので、換毛時期は毛皮なめしではなく毛を抜いたなめし革に切り替えると良さそう。>>>個人でもなめし加工を請け負ってくれるやさしい革さんへ

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