【ハンドメイド記録】ミョウバン水に漬ける方法で毛皮なめし-シカ毛皮No.3-
こんにちは。山と川と暮らし(@yamakawakurashi)です。
ハンドメイドを「人の手で作ったもの、手作り」と定義すると自分でなめした革もそれだなぁということで、忘れないうちに【ハンドメイド記録】としてまとめることにしました。
「毛皮なめし?なんじゃそら」という方も是非。そんな世界もあるのね~と読んでいただけると幸いです。
「山と川と暮らし」は、標高1150mほどの山のふもと、ちょうど本州の真ん中あたりに暮らす夫婦(30代)+犬の屋号です。狩猟をする私、釣り好きな夫、犬はイーヨーみたいなセッター。
※毛皮なめしの「皮から革」へ変わる過程を載せています。一部、生々しい写真もあります。苦手な方は閲覧をひかえてください。
今回は、どんなふうになめしたか、毛皮なめしの方法を具体的に記録しました。
外気温=冷蔵庫の気温がちょうど良い
「なめす」=「腐るとの戦い」なので、作業をする時は寒いほど良いです。
山と川と暮らしが住んでいるのは標高1150m、冬はうっかり-20℃弱になることもしばしば。さすがに寒いほど良いとは言え、厳冬期はしんどいし作業にならん。
と言うことで、人間ががんばれて、なおかつ寒いのが5℃~10℃前後でしょうか。つまり冷蔵庫の気温がベスト。
このあたりで言うと2月~3月の日中がそれくらい。皮なめしにはベストシーズンなのです。
先人のブログを探す
ミョウバンすり込み方式だと毛がゴワゴワ・ベタベタになるのが難点で。もともと触り心地がよくない動物でも、できる限りふわふわにしたい!
と言うことで、ミョウバン溶液に漬ける方法を試してみることに。
ネットでいろいろ調べられる便利な時代。先人のブログを参考にしますが、人それぞれ微妙にレシピが違う。
焼きミョウバンと生ミョウバンの違いとかもあるようで。もう、正解はよくわからんのでそのとき手元にあった分量を適当にとりあえずやってみるスタイルで進めました。
2月17日から3月4日までで1枚仕上がり、作成の流れがつかめたので立て続けに同じ方法でなめしていきます。
★ 参考にしたブログ「ちはるの森」さん「おうちでできる!ラビットファーの作り方」
ミョウバン溶液に漬け込む方法
①解凍 > ②水にさらす > ③裏打ち(肉を落とす)④ミョウバン漬け > ⑤毛を洗う⑥すのこ貼り付け > ⑦へらがけ > 完成
3枚目になめした毛皮作成の様子とともに詳細を説明していきます。
【No.3】シカ冬毛(2020年2月26日捕獲メス0歳)
作成期間:2020年3月3日~25日
3月3日解凍 > 4日水漬け > 5日裏打ち・6日ミョウバン漬け(水10L+焼ミョウバン140g+塩少々) > 17日すのこ貼り付け > 21日へらがけ > 3月25日完成
解凍・水にさらす・裏打ち
2月26日にワナにかかったシカを猟友会の方から譲っていただき、痛まないように冷凍保存していました。
夕方に冷凍庫から出し、1晩室温で解凍。翌日昼頃に大きな肉を落とし、水に浸し1日置きます。
※写真を撮らなかったので別個体の写真を参考に…。
▼ 解凍直後、表面についている砂利や葉っぱなどを流す
▼ 大きな肉をナイフで取り除いた状態、細かい脂肪やうすい肉がまだ残る
翌日、残っている肉や脂肪をナイフでこそげ落とします。
つるんときれいになりましたが、端の方がほんのりピンク。まだ血がにじんでいるようなので、洗濯洗剤を溶かした水に1晩つけておきます。
次の日、水ですすいでざっと水気を切り、いざミョウバンへ。
ミョウバンに漬け込む
焼ミョウバンだったら、普通にどこのスーパーでも売っています(漬物コーナーあたりにあるよ)。
近所のスーパーから焼ミョウバンがなくなりそうになった(私がたくさん買った)ので、最近はネットで「生ミョウバン」を買うようになりました。
違いはよくわかりません!
▼ 健栄製薬さんのホームページにわかりやすい解説がありました
ミョウバンを凝縮したのが焼ミョウバン?(焼ミョウバン100g=ミョウバン250g)と勝手に解釈しています。焼ミョウバンは水に溶けにくいらしいですが、このときは気にせずそのままザラザラ入れて使いました。
▲ 大きな容器がないので、洗濯かごにポリ袋で代用
毎日1回ぐるりとかき混ぜます。だいたい1週間くらいで引き上げるのですが、仕事やら有害駆除やら都合が合わず…気づいたら12日経っていました。
すのこ張り付け
引き上げる頃には少しにおいが出てしまった…。
少しでもにおいが飛んで欲しいという思いを込めて、毛側だけシャンプーをします。ゴワゴワ・ベタベタを防ぐ意味もあるようです。
洗剤を水で洗い流せたら、水を切ります。
ある程度水気が絞れたら、すのこに広げます。
「ひまわり油+食器洗剤+水」を混ぜたものを肉面に霧吹き、全体的にすり込みます。
ものすごい力で縮んでいくので、釘を打ちなるべく広げます。
乾燥の進み具合は、毛の量と気温・天気に左右されるようです。右が今回の冬毛(0歳)、左が翌日すのこに張り付けた夏毛(メス成獣)。
毛がうすい夏毛とくらべると、冬毛はゆっくりゆっくり乾燥していきます。
へらがけ
端の方から徐々に乾燥してきます。乾燥すると半透明になるので、手でぐいぐい引っ張ったり、とんかちの柄をぐりぐり当てたりして皮を伸ばします。
before(上)→ after(下)
若干白っぽくなったのがわかるでしょうか。
伸びると白っぽくなり、白い部分はやわらかくなります。どこから「皮」から「革」へ変わるのか正解は知りませんが、個人的には、ここでやっと「革」に変わったなぁと実感します。
乾燥しすぎてしまうといくら引っ張っても白くならず、透明でバリバリ硬いのです(太鼓の外周のイメージ)
「革」へ変えるためにはこの「白っぽくする」のがかなり大事な工程。そして、まだ乾いていない状態で引っ張っても白くならない。まめに様子を見ながら、「半透明になったら引っ張る」を繰り返します。
へらがけに最適な場所を発見
張り付けた状態だと手が届かない場所は、釘を外して引っ張ります。
本当は「ヘラがけ」という作業のとおり、ヘラに皮を押し当てて伸ばすのですが、手頃なヘラが我が家にはない。
第18歩 足もみ、ヘラがけ|姫路靼|協伸株式会社 レザーのスペシャリストwww.kyohshin.net
▲ 協伸株式会社さんの「姫路靼再現プロジェクトの記録」より
ヘラがけの道具を調べてたら出てきました。昔ながらのなめし方法の再現。皮にどんな反応が起きているか、化学的な推測もあるのでとっても参考になります。
犬の散歩中に「はっ」とひらめいた!この岩、すごく良い感じ。
2019年の台風19号で、人間には大きな被害がなかったものの、がらりと景色が変わってしまった場所がポツポツあって。ここも普段は水が流れていない沢だけど、あのときは上流から大量の土砂が押し寄せたようで。
残されたのは大量の流木とゴロゴロの石。そのなかに、ほど良い形のものを発見しました。
先ほどのリンク先の動画のように、両端を持って体重をかけながら、右へ左へぐいぐい引っ張ります。
本来、仕上げにヤスリがけを行うと革がほどよく薄くなり、よりやわらかくなるようです。でも、このヘラがけ岩だと、ほどよくヤスリがけもしてくれます。一石二鳥!!
ということで、たまに外して岩でヘラがけして1週間。肉面はほぼ乾いたので、毛側を外にして乾燥。
貼り付けから9日ほどで完成しました!!
においも消えて、ほどよくやわらかく。
まとめ:毛皮なめしは根気よく続けることが大切
何枚かなめして思ったことは、ミョウバンの分量とか、漬けておく日数とか、割と適当でも最後のヘラがけがしっかりできれば何とか形になる気がします。
かなり地味で時間のかかる作業が大半を占めるので、根気よく続けることが大切だと思いました。それにしても、昔の人はすごいんだなと改めて実感。
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